本記事は筆者独自の見解です。漢字に親しみを覚えていただければ幸いです。
漢字の成り立ち「犬」
成り立ちの種類 | 象形文字 |
---|---|
漢字の部首・画数 | (部首)犬 (いぬ・けものへん)(画数)4画 |
漢字の読み方 | (音)ケン(訓)いぬ |
漢字の意味 | ・いぬ、イヌ科の哺乳(ホニュウ)動物 ・つまらないもののたとえ ・まわし者、スパイ |
漢字の学年・漢字検定 | (学年)小学校1年生(漢字検定)10級 |
人と犬の絆は古くから続くもので、今でも家族として愛されている存在ですよね。
この「犬」という文字は、どのようにして生まれたのでしょうか。
また、犬の漢字が生まれた背景には、どのような事情があったのでしょうか。
この記事では、そんな犬の漢字にまつわる興味深いエピソードを紹介します。
ぜひ最後まで読み進めてくださいね。
それでは見ていきましょう!
漢字の成り立ち「犬」
(象形文字)
漢字の成り立ち<象形文字とは>
↓
漢字の成り立ち<古代文字の甲骨文字・金文・篆文(篆書体)とは>
↓
犬
犬という漢字の成り立ちは、一般的に犬を縦に表現した象形文字です。
実際に、漢字の「犬」をよく見ると、左側に縦長の犬の体を表現した部分があり、右側にはその犬の足跡を表現したような部分があります。
このように犬の姿が反映された漢字は、多くの漢字の中でも比較的わかりやすい部類に入ります。
ただし、犬の漢字には他にも諸説あり、例えば「犬」という字は本来、獣の一種を表す漢字で、その中でも特に大型の犬を指すことが多かったとされています。
また、古代の中国では犬が猟犬として活躍することが多かったため、犬を表す漢字には猟犬を意味する「猶」という字が用いられたこともあったそうです。
いずれにせよ、犬という動物が人々の生活に密接に関わっていたことから、その姿や役割が漢字に反映されていることは興味深いと言えます。
どのくらい密接に関わっていたかというと、古代中国では犬を生贄として用いることがありました。
例えば、
- 春秋戦国時代の趙国の昭王が亡くなった際には、500頭の犬が王の墓に生贄として埋められた。
- 秦の始皇帝の陵墓でも、8000頭の犬が生贄として埋められた。
こんな伝承が残っています。
実は史料として具体的な数や方法については書かれていない場合が多いのですが、始皇帝陵周辺から犬の遺骸が多数発見されたことがあるため、犬が埋められたこと自体は事実として残されているようです。
犬の鋭い嗅覚や忠誠心、警戒心などがあの世でも王を守るというような意味があるのかもしれませんね。
このように犬は長い間人間の身近な存在であり、人間の世界と死後の世界をつなぐ存在としても見られていたと考えられています。
では次に、「犬」という漢字にどんな意味があるのか見ていきましょう。
漢字「犬」の意味
哺乳動物
例:狂犬(きょうけん)、子犬(こいぬ)、柴犬(しばいぬ)、闘犬(とうけん)、番犬(ばんけん)、猛犬(もうけん)、野犬(やけん)、雑種犬(ざっしゅけん)、野良犬(のらいぬ)、盲導犬(もうどうけん)
身分が低い、自分を低く言う
例:犬馬(けんば)、犬馬の労(けんばのろう)
無礼なもの
例:犬侍(いぬざむらい)
結果的に役に立たない
例:犬死に(いぬじに)、犬兎の争い(けんとのあらそい)
回し者、こま
例:警察の犬(けいさつのいぬ)
次に読み方を紹介します。
漢字「犬」の読み方
音読み・訓読み別に見ていきましょう。
音読み
「ケン」
例:犬猿(けんえん)、愛犬(あいけん)、犬歯(けんし)、駄犬(だけん)、名犬(めいけん)、狂犬病(きょうけんびょう)
・愛犬に狂犬病の予防接種を受けさせる。
(あいけんにきょうけんびょうのよぼうせっしゅをうけさせる)
訓読み
「いぬ」
例:狛犬(こまいぬ)、土佐犬(とさいぬ)、犬釘(いぬくぎ)、犬蓼(いぬたで)、犬張子(いぬはりこ)、犬追物(いぬおうもの)、犬一代に狸一匹(いぬいちだいにたぬきいっぴき)、犬も朋輩鷹も朋輩(いぬもほうばいたかもほうばい)、犬も歩けば棒に当たる(いぬもあるけばぼうにあたる)
・元気に育つように犬張子を下げる。
(げんきにそだつようにいぬはりこをさげる)
その他
犬子(えのこ)
次に漢字「犬」を綺麗に書くポイントを紹介します。
漢字「犬」の書き順・書き方
(四画)(部首:犬)
それでは、犬を綺麗に書くポイントを一画目から見ましょう。
一画目
・マスの左上から右斜め上へ進み、止めます。
二画目
・マスの中心から下へ真っ直ぐ進み、一画目と交わったらそのまま左斜めしたへ進み、ゆっくりはらいます。
三画目
・一画目と二画目の交わる所から書き始めます。
・右斜め下へ進み、力強くはらいます。
・二画目と書き終わりのラインが揃うようにしましょう。
四画目
・短く右斜め下に点を書くイメージです。
・最後は止めます。
最後は犬に関するうんちくです!
漢字「犬」のうんちく
神社にいるのは狛犬と狛犬ではなかった!
神社の入り口に守り神として鎮座している狛犬。
二匹いますが、どちらも狛犬と思っていませんか?
実は、口を閉じている方が狛犬で、口が開いている方は獅子なんです。
この口は何を表現しているのかと言うと、「生まれてから死ぬまで」、つまり阿吽の呼吸です。
もともと日本に伝わる前の中国では、二匹とも獅子で、空想の霊獣として王を守る守り神でした。
その後日本に伝わり、の歴史と獅子の文化が合わさって、「獅子」と「狛犬」という日本特有のものへと変化しました。
今では見た目が同じになっていますし、二匹合わせて狛犬と呼ばれることが多いですね。
犬・狗・戌の違い
犬・狗・戌は、どれも「イヌ」と読みますが、その違いをご存じですか?
犬の成り立ちは前述した通り、犬の姿をかたどったものです。
では狗と戌はどうでしょうか?
狗の「句」は小さいものを意味する漢字で、「犭」けもの偏と組み合わせて子犬を意味するようになりました。
しかし、日本ではほとんど使われておらず、この漢字は主に中国の犬という意味で使われています。
次に戌です。
この漢字を良く見るのは干支のイヌですね。
この「戌」という漢字の成り立ちはイヌとは関係ありません。
戌は旧暦の9月を表す漢字です。
十二支はもともと、時間や方角を表すのに使用されていましたが、十二支に動物を当てはめる時、イヌを「戌」と当てたことから干支でのイヌは「戌」になったとされています。
漢字の成り立ち「犬」まとめ
これまでのおさらいです。
- 犬の漢字の成り立ちは猟犬をかたどった象形文字である。
- 意味は、哺乳動物、身分が低い、自分を低く言う、無礼なもの、結果的に役に立たない回し者、こま。
- 読み方は「ケン」「いぬ」
- 犬という漢字は四画で部首は犬。
- 神社にいるのは狛犬と狛犬ではなく、狛犬と獅子であり、日本特有のものである。
- 犬は犬の形をかただったもの、狗は子犬、戌は十二支を動物に当てはめる時にイヌを戌としたことからこのようになった。
でしたね。
いかがでしたか?
漢字の成り立から覚えていくと難しい漢字も覚えやすくなりますよ。
楽しく学んでくださいね♪
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