本記事は筆者独自の見解です。漢字に親しみを覚えていただければ幸いです。
漢字の成り立ちは6種類!(象形文字・指事文字・会意文字・形声文字・仮借・転注)
漢字の成り立ちといえば、象形・指事・会意・形声の4種類を思い浮かべる人も多いと思いますが、実は6種類あるのをご存じですか?
今から約1900年前に書かれた最古の部首別漢字字典『説文解字』によると、漢字の成り立ちは6種類解説されています。
その6種類とは「象形(しょうけい)文字」「指事(しじ)文字」「会意(かいい)文字」「形声(けいせい)文字」「転注(てんちゅう)文字」「仮借(かしゃ)文字」で、「六書(りくしょ)」と呼ばれています。
下では、文字ができた順番に解説していますのでぜひご覧くださいね!
象形文字はものの形をかたどって表した文字
象形文字とは、物や事物の形状・性質・特徴などを描写した図像を基にして作られた文字のことを指します。
つまり、物や事物の形態や特徴をそのまま図像化して文字として表現したものです。
例えば、水を表す漢字「水」は、水を流れる様子を描いたものであり、馬を表す漢字「馬」は、馬の姿勢を描いたものです。
象形文字は、世界各地で発展しており、古代エジプトのヒエログリフ、メソポタミアの楔形文字、中央アジアのトルファン文字、マヤ文字など、様々な形態で存在しています。
また、漢字も古代中国で発展した象形文字を基にしているため、文字形も意味も似たような形をしています。
象形文字は、当初は簡潔なものから始まり、時間の経過とともに複雑化していきました。
そして、同じ形の文字でも異なる読み方が生まれたり、異なる形の文字でも同じ意味を持つようになるなど、多様な変化を遂げました。
古代中国において、象形文字は文字の基本形式として使用されていました。古代中国の象形文字は、「甲骨文」と「金文」に分けられます。
甲骨文は、紀元前14世紀から紀元前3世紀にかけて、龍山文化や商朝時代に使用された文字で、主に獣骨や亀甲に刻まれていました。甲骨文は、動物や植物、天気、出来事などを描いたものが多く、文字の形も描いたものに近い形をしていました。
一方、金文は、紀元前770年から紀元前221年にかけての周・春秋・戦国時代に使用された文字で、主に青銅器に刻まれていました。
金文は、甲骨文に比べて簡略化され、文字の形も直線的になっています。また、金文には、漢字として現代でも使用されている文字も多く含まれています。
これらの象形文字が発展する過程で、同じ形の文字でも異なる読み方が生まれたり、異なる形の文字でも同じ意味を持つようになるなど、多様な変化が起きました。
これらの変化は、文字を書く人々の生活環境や社会的な状況によって生じたものであると考えられています。
また、古代中国では、文字は特別な存在であり、神秘的な力を持っていると考えられていました。
文字を書くことは、神と交信することとも考えられ、文字を書くことは神聖な行為であるとされていたのです。
これらの象形文字は、後に漢字として発展し、現代の中国や日本などで使用されています。漢字の発展には、古代中国の象形文字が大きく貢献していると言えます。
古代文字の甲骨文字を見ると、そのほとんどは象形で作られており、漢字の成り立ちの基本と言われています。
指示文字は形で表せないものを見て理解できるように点や線で表した文字
(線の上に点があるから上)
(横線の下に点があるから下)
(木の根元を表すために、木の下に一を加えている)
指事文字は数が少なく、常用漢字2136文字中、10文字しかありません。
(1級を対象にした6445字だと11文字)
その10文字は以下。
一 二 三 八 十 百 上 下 本 末
例えば、「上」と「下」は、横棒の上に点があることで「うえ」を、下は横棒よりも点が下にあることで「した」を表しています。
また、「未」は木の下の方を、「末」は木の上の方を意味しており、「本」は木の根本にあるものなので間違いやすいですが指事文字です。
象形文字が最初にできた文字ですが、指事文字も同じ頃に作られたと言われています。
指事文字一覧はこちら
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会意文字は2つ以上の文字の意味を組み合わせて作られた文字
(日+月→明)
(口+鳥→鳴)
(人+木→休)
既にあった象形文字と指事文字を組み合わせて新しく作られた文字です。
「牛」と「角」と「刀」が組み合わさってできた漢字が「解」で、解剖するという意味を表すように、この方法で多くの意味を表す字が出来上がりました。
日本の国字は会意文字で作られたものが多いと言われています。
文字の組み合わせ方も、音(読み方)が付けられた法則も自由なので、学習する方法がなく、暗記のみです。
形声文字は音を表す文字と意味を表す文字を組み合わせて作られた文字
(意味「氵」+音「可」=河)
(意味「心」+音「非」=悲)
(意味「女」+音「市」=姉)
言葉ができてから文字が作られましたので、ものごとには全て名前がありました。
部首にその名前を当てるだけで文字が完成。
それが形声文字です。
非常に合理的な文字なので、この後形声方式を使った文字がたくさんできました。
常用漢字の中で形声文字は60%以上ととても多いのが特徴です。
仮借はもともと意味があったが音だけを借りて全く別の意味になった文字
仮借は当て字の一種ですが、特に1字で表記されるものを言います。
前出の「象形」「指事」「会意」「形声」とは異なり、仮借は既にある漢字を持ってきて全く別の文字にさせているので、成り立ちの種類と言うよりは、文字の運用法とも言えます。
象形が仮借され、部首が付けられることが多いと言われています。
転注文字はもともと意味があったが他の意味で使われるようになった文字
今でも文字数が少なく、定説も定かではないことが特徴です。
漢字の成り立ち6種類とは?象形・指事・会意・形声・仮借・転注を紹介!まとめ
ここでは、象形文字・指事文字・会意文字・形声文字・仮借文字・転注文字の6種類を紹介しました!
もう一度まとめると、
- 象形文字はものの形をかたどって表した文字
- 指示文字は形で表せないものを見て理解できるように点や線で表した文字
- 会意文字は2つ以上の文字の意味を組み合わせて作られた文字
- 形声文字は音を表す文字と意味を表す文字を組み合わせて作られた文字
- 仮借はもともと意味があったが音だけを借りて全く別の意味になった文字
- 転注文字はもともと意味があったが他の意味で使われるようになった文字
でしたね。
いかがでしたか?
漢字の成り立ちを学べば、歴史も学ぶことができる他、意外な成り立ちも知ることができるのでとても興味深いと思いますよ!
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