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魚という漢字の成り立ち

本記事は筆者独自の見解です。漢字に親しみを覚えていただければ幸いです。

成り立ちの種類 象形文字
漢字の部首・画数 (部首)魚 (うお・うおへん・さかなへん)画数)11画
漢字の読み方 (音)ギョ訓)うお・ さかな
漢字の意味 うお、さかな
漢字の学年・漢字検定 学年)小学校2年生(漢字検定)9級

中国では古くから、魚は縁起物として扱われてきました。

豊かさや繁栄を表し、特に春節や端午節などの祭りの際には、魚料理が欠かせないものとなっています。

そのため、魚という漢字には、古くから中国文化において重要な位置を占めるシンボルでした。

日本においても、海に囲まれた島国であることから、魚は古来より馴染みのある食材ですね。

そんな魚という漢字の成り立ちはどんなものだったのでしょうか。

象形文字が可愛らしいですよ。

詳しくみていきましょう。



魚という漢字の成り立ち

漢字の成り立ちの種類を見る

「魚」という漢字は、水中を泳ぐ魚の姿を表した「象形文字」です。

日本でよく使われる漢字の一つですね。

魚の姿勢や鱗の模様が、水中に泳ぐ魚をイメージさせることから、「さかな」という意味を持つようになりました。

魚の漢字は、古代から存在しており、殷(いん)の甲骨文字にも、魚の姿をした文字が見られます。

現代の中国でも、同じような姿の漢字が使われています。

中国語では「魚(yú)」と書きますが、その形も日本語と同様、水中を泳ぐ魚を象ったとされています。

魚の漢字が使われるようになったのは、古代中国でのことです。

漢字の起源は、中国の甲骨文字にあり、紀元前16世紀から紀元前11世紀にかけて、中国の殷(いん)王朝で使用された文字でした。

殷王朝は、黄河流域に位置していたため、水の存在は重要でした。

そのため、水中に生きる魚の姿が文字に取り入れられたと考えられています。

日本においても、日本は海に囲まれているため、魚という存在は日常生活に密接に関わるものでした。

漢字が日本に伝わると、中国から多くの漢字が入って来るようになりましたが、日本の文化や風土に合わせて独自の用法で使われるようになりました。

魚という漢字もその一つで、水中に泳ぐ魚の姿を表現することで、日本の文化や風土に適した漢字として使われるようになったのです。

さらに魚という漢字は、様々な熟語や言葉の中で使用されることで、様々な意味を持つようになりました。

例えば、「魚心あれば水心」という言葉は、魚が水を離れることができないように、人間もその環境に合わせて行動することが大切であるという意味が込められています。

また、「魚眼」は、魚の目が球形であることから、球形のものを指す言葉として使われます。

このように魚は人々にとって身近で大切なものであったため、古代から現代まで漢字として大切に使われ続けているのです。

さてそんな魚という漢字ですが、中国はもちろん、韓国でも同じように使われているのはご存じでしょうか。



目次

魚という漢字は世界でも使われている

魚の漢字は、現在では日本だけでなく、中国や韓国などのアジア圏でも使われています。

中国語では、魚(yú)は一般的な漢字であり、魚自体を指す場合だけでなく、魚の一部である魚肉や、魚の形をした物なども指します。

また、魚は中国の風水学においても重要な意味を持っており、豊かさや繁栄を象徴するものとされています。

魚に関することわざや諺も多く、例えば「魚米之鄉」(漁業と農業が栄える地方のこと)、「魚網之鎖」(人を魅了するもののこと)などがあります。

韓国語でも、魚(어, eo)は一般的な漢字であり、魚自体を指す場合だけでなく、魚の一部である魚肉や、魚を加工した製品なども指します。

また、韓国の文化においても魚は重要な役割を持っており、例えば「태고의 새, 황금 나비와 함께 하는 봄의 정월 대보름」(春の節分で鯛を食べ、豊かな年を祈る)、「어부의 정성으로 만들어진 초밥, 회」(漁師の技で作られた寿司や刺身)など、魚に関する行事や食文化が存在します。

なぜ、魚の形を描いた文字が、様々な国で使われるようになったのでしょうか。

それには、文化的な背景があります。

人々は、魚を古くから重要な食料源として捕獲してきました。

そのため、魚という存在は、人々にとって身近で、なじみの深いものでした。

また水中で生きる魚の姿を見る機会も多く、その形は人々にとって親しみやすかったのでしょう。

このように、「魚」という漢字が広く使用されていることがわかりますね。

さて魚といえば、単体ではなく偏(へん)としても使われています。

その魚へんの由来にも触れておきたいと思います。




魚へんの由来

へんは、漢字の構成要素の一つであり、漢字の意味の推定や、漢字の読み方のイメージをする役割があります。

魚へんは多くの漢字に使用されていますが、漢字の由来において、どのような意味を持っているのでしょうか。

諸説ありますが、一般には「魚の形を表している」と考えられています。

具体的には、魚の体を横に切った断面の形を表しているとする説が有力で、魚へんは魚の体の特徴を表す象形文字から派生したとされています。

また他にも異なる説もあります。

例えば、魚の骨や鱗(うろこ)など、魚に関連する形状を表しているとする説や、水の流れを表す波紋の形から派生したとする説などです。

どちらにしても、魚へんを持つ漢字には、魚や水に関する意味を持つ漢字ということには変わりありません。

魚へんの漢字といえば、
  • 鯨(くじら)
  • 鮫(さめ)
  • 鰯(いわし)
  • 鯛(たい)
  • 鮎(あゆ)
  • 鮪(まぐろ)
  • 鰻(うなぎ)
  • 鱸(すずき)
  • 鰹(かつお)
  • 鯖(さば)
  • 鯵(あじ)
  • 鮭(さけ)
  • 鱗(うろこ)
  • 鮮(あざやか)→魚介類の鮮度が高いことを表す。

などがあげられますね。

一般的に日常的に使われる漢字の中に魚へんを持つものは、約300字あるといわれています。

とても多いですが、確かにお寿司屋さんのメニューには魚へんの漢字がたくさんありますよね。

魚へんはよく左側に配置されますが、それを見ただけで魚に関することだということがイメージできる便利な部首といえます。

例えば、「鰻(うなぎ)」という漢字は、魚へんに加えて、鰻の長い身体を表す「曼」が右にくっ付いた形をしています。

「曼」は、細長いものがうねるさまを表す字で、上部が「欠」、下部が「曰」という形を組み合わせて構成されています。

この漢字には、「長くしなやかなもの」という意味が込められています。

ここに魚を付けるだけで、この長くしなやかなものは魚と認識されるのです。

また、「鯨(くじら)」は「魚」と「京」が組み合わさってできています。

「京」という字は、古代中国の都市を表す字であり、上部が「亠」、下部が「土」という形を組み合わせて構成されています。

この漢字には「大都市」という意味が込められています。

「魚」と「京」を組み合わせた「鯨」という漢字には、「大きな魚」という意味になるのです。

海に生息する中でも最も大型の哺乳類として知られているのはくじらですので、このような意味となったのですね。

このように、魚へんを持つ漢字には、その魚の形や特徴を表現する要素が含まれているのです。

魚という漢字は伝統文化や風習にも影響を与えていた

魚は古代中国において重要な食糧の一つでしたが、伝統文化や風習においても、重要な役割を担っています。

例えば、「鯉のぼり」という風習は、鯉が水を逆流することで川を登るように見える様子を表現しています。

子どもたちが健やかに成長し、家族が幸せであるようにとの願いが込められた風習ですね。

鯉のぼりが魚である理由は、中国の伝説に由来しています。

伝説によれば、中国の大河である黄河の上流には、龍門という急流があり、そこを鯉が上りきると、龍になるという言い伝えがありました。

この伝説が日本に伝わり、鯉が勇ましく水を登る姿が、家族の子供たちが健やかに成長するようにという願いが込められるようになったのです。

鯉は日本の伝統的な食材であること、また日本は海に囲まれた島国であり、多くの川や湖があることから、鯉のぼりは日本人に取り入れやすい文化だったといえるでしょう。

魚という漢字の成り立ち まとめ

今回は「魚」という漢字の成り立ちについて解説しました。

いかがでしたか?

魚という漢字は、水中を泳ぐ魚の姿を表現した象形文字であり、その形から、日常生活で身近な存在である魚という意味を持つようになりました。

また、文化的背景や風土に合わせた使用法が生まれ、様々な熟語や言葉にも使用されています。

魚という存在は、人々にとって身近で大切なものであり、その象形文字である魚の漢字も、古代から現代まで、多くの人々に愛され、使用され続けています。



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