本記事は筆者独自の見解です。漢字に親しみを覚えていただければ幸いです。
漢字「押」は占いの習慣で犠牲になった生き物から成り立った
成り立ち | 形声文字 |
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部首 画数 | (部首) 扌 (て・てへん)(画数)8画 |
読み方 | (音)[高校]オウ (訓)お-す・ おさ-える |
学年 | 中学校 |
漢字検定 | 4級 |
押印・押収・押さえるなど、ちょっと強引なイメージのある「押」という漢字。
その成り立ちは、「手」と「甲(アフ)」が組み合わさって成り立ちました。
「手」はての形を表し、「甲」は覆いかぶさるという意味があり、合わせて「物の上に覆いかぶさるようにして手を置き、おしつける」イメージとなります。
物の上に手を覆いかぶせて押さえつけるとは一体どんな場面なのでしょうか。
約3000年前の時代、どんな決め事も占いで決められていました。
その占いで犠牲になった生き物が関わっています。
詳しく見ていきましょう。
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漢字の成り立ち「押」
(形声文字)
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押
「押(オウ)」は、意味を表す「手」と音を表す「甲(アフ)」が組み合わさって成り立った形声文字です。
「手」はての形を表し、「甲」は覆いかぶさるという意味があり、合わせて「物の上に覆いかぶさるようにして手を置き、おしつける」イメージとなります。
何に手を覆いかぶせて、押さえつけているのでしょうか。
実は、亀の甲羅に手を置き下に押しているのです。
古代中国の人々は、事あるごとに神に祈りを捧げました。
神の言葉は何よりも大切なもので、どう生きるべきか、進むべき道や戦の戦術など、自分だけの意志では判断できなことなどを神に祈りを捧げて意見を聞いたのです。
そして、その占いのような祈りは、日常すべてを支配していたといえるでしょう。
神は身近な存在であり、生活全てにおいての中心なのでした。
古代中国では神に祈りを捧げて意見を聞く時などには、亀の甲羅を利用したといわれています。
亀の甲羅を利用して神からの意見を聞く、これはのちの占いに繋がるものになります。
亀の甲羅にさまざまな方法でヒビを入れ、ヒビ割れの大きさや方向などによって吉凶や良し悪し、行動についての判断材料にしました。
ヒビ割れた亀の甲羅には、神からの意見(占い)を元に判断された王の指示などを記し、記録として残しました。
この時に甲羅に書かれた文字が漢字の原型となる甲骨文字です。
甲骨文字に「甲」が入るのはそんな理由があったのです。
占いが生活の一部であるので、占いをするたびに亀が必要となります。
そして、占いの結果や、決めた内容などを記す必要があり、大きな亀が必要でした。
大きな亀ならば捕まえるのも一苦労、数人がかりで亀を捕まえます。
その亀を捕まえる様子が「押」なのです。
亀といっても、必要なのは甲羅で、捕まえられた亀は胴体と甲羅を剥がすために、切り刻まれてしまいます。
神への祈り・占いなどが日常的に行われていたのだから、どれだけの亀を殺したのかと考えるのも恐ろしくなるほどの量であったと想像できます。
現在では「スケジュールを押さえた」など気軽に使われる「押」ですが、成り立ちを見ると、実は強制的に上から押さえつけられ殺された大量の亀の死から成る漢字だったのです。
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漢字「押」の書き順・書き方
ゆっくり練習していきましょう。
漢字「押」書き方・書き順ポイント
★ニ画目の縦画は、一画目の2:1の幅を通過するように書く。
★四画目と五画目の縦画は、やや内向きに書く。
★四画目と五画目の終点は少し出す。
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漢字の成り立ち「押」まとめ
では最後はまとめです。
漢字の成り立ち「押」は、
- 意味を表す「手」と音を表す「甲(アフ)」が組み合わさって成り立った形声文字。
- 部首は「 扌 (て・てへん)」で、画数は8画。
- 読み方は、(音)オウ(訓)お-す・ おさ-える
- 中校生の漢字。
- 漢字検定は4級。
- 書き順のポイントは、「ニ画目の縦画は、一画目の2:1の幅を通過するように書く」「四画目と五画目の縦画は、やや内向きに書く」「四画目と五画目の終点は少し出す」。
以上が漢字「押」のまとめです。
いかがでしたか?
何気なく使っている漢字が成り立ちを知ると、少し切ない気持ちになったりしせんか?
それも漢字の成り立ちの面白さなんですよ^^